【司法書士が解説】死後事務委任契約の費用や仕組みとは?

本コラムで分かること

本コラムでは、死後事務委任契約はどのような仕組みであるか、どんなことができるのか簡単にお伝えしていきます。

高齢者世帯の60%超?増え続けるおひとり様、お二人様世帯

 

65歳以上の方のいる世帯は、令和元年現在、世帯数は2,558万4,000世帯と全世帯の49.4%を占めています。

 

65歳以上の一人暮らしの方は、昭和55年には65歳以上の男女それぞれの人口に占める割合は4.3%、女性11.2%であったが、令和2年には男性15.0%、女性22.1%と男女ともに増加傾向にあります。

 

誰にでも必ず訪れる死後の対応について、備えておくことは身近な方にとっても安心感があることだと思われます。
おひとり様、お二人様世帯の方はご兄弟姉妹がおられても、その方たちもご高齢となり、死後の対応を頼むことが難しかったり、おひとり様で一人っ子の方はご両親祖父母がお亡くなりになられると相続人がいないという状況になってしまいます。

 

高齢になったり、体調を崩しご自分で動くこと・考えることが難しくなる前に、今後のことを考えておくことは、ご自身の将来の安心の為にも大切なことであるでしょう。

死後事務委任契約の基本的な仕組み・死後事務委任契約できること

 

死後事務委任契約とは、本人が亡くなった後に死亡届の提出・葬儀の手配・医療費や公共料金等の支払いといった各種手続きを代わりに行うことを記した契約です。また、自宅の家財処分や清掃、施設であれば精算業務も可能です。

 

身寄りのない方やできるだけ親族に負担をかけたくないと考える方も少なくない中、このような死後事務委任契約は解決策として適しています。

 

一般的によく知られている「遺言執行」と似ているように思えますが、法的に見ても違いがあります。まず、遺言執行は、本人の意思に従った財産の承継を行います。そのため、財産の承継以外の手続きは行えません。一方で、死後事務委任契約は、上記でもお伝えしたように、葬儀や埋葬の方法、財産承継以外のことを依頼することが可能です。

 

また、「任意後見契約」で事前に決めておけばいいのでは・・?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、任意後見契約では葬儀や埋葬等、死後の事務について委任をすることが出来ません。以上のとおり、相続手続きとは別に死後の事務について予め決めておきたい場合は、この「死後事務委任契約」をすることで、老後を安心して生活することが出来ます。

死後事務委任契約の契約~実行までの具体的な流れとは?

契約の流れとしては、まず、死後事務についてどのような事を委任するのかを明確にし、それらを記載した契約書を作成します。その際、公証役場にて公正証書化することでより効力がはっきりとしたものになります。

 

その後、ご本人がお亡くなりになった際、契約内容に則って様々な事務を行います。まず一番初めに行われるのは葬儀や納骨、永代供養といった手続きです。それと同時に、親族や友人等への連絡も行うことが可能です。

死後事務委任契約にかかる費用・依頼先の専門家はどこがよい?

 

費用については、次の①+②の合計になります。

 

①委任契約書の作成に10万円~30万円+公証人手数料がかかります。

 

②死後、何を委任するかによって費用が変わります。

 

依頼先によっても費用設定は変わります。それぞれの手続きに料金が決められていたり、一律でこの金額と決まっている場合もあります。各手続きにそれぞれに費用設定がされている事務所では、全て対応してもらうと、80万円前後が多いようでした。

実際に死後事務を請け負う方は知人でも良いですが、一般の方が手続きするとなると、手続きが煩雑で困難であると考えられます。そのため、手続きに経験豊富な司法書士や行政書士などの専門家に依頼することをお勧めします。

死後事務委任契約のメリット・デメリット・他の制度との比較

 

メリット

生前に自分の死後の事に関して希望を伝えられます。

おひとり様の方・ご家族やご親族がいらっしゃる場合でも、皆さまが高齢である場合や、余計な負担や迷惑をかけたくない場合、火葬以外を希望する場合等に備えることができます。

デメリット

自分で手続きを進めていくのは大変なため、基本的には専門家に依頼して契約を進めます。その際に、費用が発生する点はデメリットと言えます。

他制度との比較

よくお客様から聞かれるのが、遺言執行との違いについてです。

遺言とは財産の承継についての希望です。遺言執行は本人の意思に従った財産の承継を行います。つまり、財産の承継以外の手続きは行えません。

 

死後事務委任契約は、財産の承継以外の事を依頼できます。

委任できる内容の一例としては、以下のようなものがあります。

 

  • 行政への届出:死亡届や健康保険の返納、年金の資格喪失届出など
  • 葬儀関連の手続き:葬儀場の手配、納骨の方法、永代供養の手配まで、葬礼のほぼ全てを任せる事が可能
  • 知人・親族への連絡:関係者に対して亡くなった事の連絡をしてもらえるほか、SNS上での告知等も可能
  • 家賃・医療費・介護施設費の支払:死亡時点まで継続して発生していた費用の精算
  • 自室や介護施設の清掃:死亡時点まで過ごしていた部屋の片づけの手配、家財処分の一任も可能

 

その他、飼っているペットについてや、パソコン等のデジタル機器に残されたデータの処分など幅広く対応が可能です。

本コラムのまとめ

 

死後事務委任契約とは、どんなものなのか、遺言執行との違いについてお伝えしました。

 

できるだけ早く、突然に起こる死について考えておくことは、だれしも必要なことだと思います。生前にお金を預託しておくことや、保険商品とし死後事務に備えるものもあるようです。

 

専門家に相談することで、色々なアドバイスも得られるので、一度相談をされてみてもよいと思います。

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