財産管理委任契約と家族信託の違い
財産管理委任契約と家族信託は、似た働きを持っています。
財産管理契約とは?
財産管理契約とは、自身の財産の管理、生活においての事務手続きなどを管理内容を決定し、自身の選任した方にその代理権を委任することのできる契約のことです。
この契約は裁判所を介す必要がなく、効力が両者の合意のみで生じるため、自由に契約内容を定めることができるのが特徴の一つです。
財産管理契約のメリット
財産管理契約の具体的なメリットは下記のようなものがあります。
- 裁判所が間に入らないので契約にかかる時間を短縮できる
- 財産管理を委託する人を自分の信頼できる人に選択することができる
- 判断能力が低下していなくても利用することができる
家族信託との違い
家族信託と財産管理契約の違いとして、家族信託は、本人の判断能力にかかわらず継続することを前提としているのに対し、財産管理契約は、本人の判断能力があることを前提としている点にあります。
これはどういうことなのでしょうか。
財産管理契約は、本人の判断能力がなくなると使えない契約ですが、家族信託はそのまま契約を継続します。
また、財産管理契約の場合、金融機関によっては受任者による銀行取引が認められないことがありますが、家族信託では受託者が信託口座を管理することができます。そのため、認知症に備えた長期的な財産管理をしてもらいたい場合は、家族信託の方が向いています。
しかし、家族信託は信頼できる親族がいないと行えないため、信頼できる親族がいない人は、財産管理契約が適しています。自分の状況に適している契約を結ぶため、信頼できる専門家に相談しましょう。