家族信託ではどのような財産を信託することができるのか?司法書士が解説!

家族信託では委託者(財産を託す人)から受託者(財産を託される人)へ財産を管理する権利等が信託されます。

この信託された財産のことを信託財産と呼びます。

これからこの家族信託を利用しようと考えている方の中には、

「どの財産なら信託財産として法的に認められるのか?」
「自分が託したい財産は信託することができるのか?」

といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は家族信託で信託できる財産、そうでない財産をまとめて解説いたします。

信託ができる財産

家族信託では、信託銀行や証券会社が行う商事信託と異なりかなり広い範囲の財産を取り扱うことが特徴の一つになります。

家族信託と商事信託の違いはコチラ>>

ただ、広範な財産を扱うことのできる家族信託と言えど、あらゆる財産を扱えるというわけではありません。

そこで、まずはどのような財産であれば信託することができるのかを確認していきましょう。

①金銭

家族信託を利用する際に最も信託されることの多い財産の一つがこの金銭になります。

この場合、金銭とは現金そのものというよりは預貯金を指すケースがほとんどになっています。

預貯金を信託財産として信託した場合、その預貯金の管理・処分の権利が受託者(財産を託された者)に移ります。

信託した預貯金の管理方法や用途については委託者(財産を託した者)によって信託契約の中で定められるため、不正に使用されたり、想定していた方法以外で悪用されるということはありません。

障害を持つ子に贈与することが難しく、代わりに信頼できる他の親族に預貯金を信託して、その親族に障害を持つ子の世話をしてもらう、というようなケースでも用いられることがあります。

障害を持つお子さんのために家族信託を利用したケースはコチラ>>

認知症になってしまった際に財産が凍結されるのを防ぐために預貯金の信託をするというケースも多く見受けられます。

②有価証券(上場株式、非上場株式、国債など)

株式や国債についても家族信託の信託財産として選ぶことができます。

有価証券を信託財産として信託した場合、その有価証券に関係する議決権や利用決定権、管理・処分の権利が受託者(財産を託された者)に移ります。

こちらは一般的には、認知症や不慮の事故などによって株式や国債などが塩漬けになることを防ぐために信託するというケースがございます。

預貯金の場合と同様に、万が一のことがあった場合には、有価証券という信託財産を自身の希望する範囲で適切に運用してもらうことができます。

また、非上場株式の場合は、事業承継対策として家族信託が用いられるケースがあります。

一族で会社を持つというような非上場企業においては、オーナー社長がすべての非上場株式を所有しているという場合があります。

そのため、議決権もオーナー社長のみが持つということになります。

この状態で認知症や不慮の事故で判断能力を喪失した場合、会社全体がデッドロックに陥り機能不全になる危険性があります。

そこで、予め非上場株式の議決権のみを後継者に信託しておくことで万が一の際にも会社が機能不全にならず安定して事業承継に進んでいくことができるようになります。

後継者に自社株を信託したケースはコチラ>>

③金銭債権(請求権、将来債権、貸付債権、リース・クレジット債権など)

また、金銭債権も信託財産として信託することができます。

請求権や貸付債権は、その内容や金額によっては容易に放棄できない、必ず回収しなくてはならないという場合もございます。

そうした際に、金銭債権を持つ者が認知症で判断能力を失う、死亡する、という事態に陥った場合、その債権を回収できなくなる可能性があります。

そうした事態を避けるため、債権者の万が一の際には債権の請求権を他の人が持つことができる、という形で予め家族信託を行うというケースがございます。

④動産(自動車、貴金属類、ペットなど)

ハッキリと形を持った動産についても家族信託で信託することができます。

この場合も、その動産の管理・処分の権利を受託者(財産を託される者)に移すという形になります。

よくあるケースとしては、自身が認知症になり自動車に乗ることができなくなったら、息子にその自動車の管理・処分の権利を移動するという形での家族信託がございます。

同様にして、娘や息子に貴金属類の管理・処分の権利を移すというケースも見受けられます。

動産にはペットといった生き物も含まれており、当然こうしたペットも信託することができます。

預貯金の信託とセットで、

「○○銀行の預貯金500万と飼っている犬の△△ちゃんを信託する。信託する預貯金で犬の世話をしてほしい。犬の死後は余ったお金は受託者のものとする。」

というような形の信託が結ばれるケースもあります。

⑤土地、建物(不動産所有権、借地権など)

預貯金の次に最もポピュラーな信託財産は土地や建物といった不動産なのではないでしょうか。

実家や収益不動産、土地などについても家族信託で信託することができます。

不動産についても、これまでの財産と同様、管理・処分の権利が受託者(財産を託される者)に移されます。

不動産は、塩漬けになってしまった際のリスクが非常に大きいために、家族信託を用いて対策が行われることが多くなっています。

例えば、自宅の名義人が認知症になってしまった場合、その自宅に関するあらゆる法律行為を行うことができなくなってしまいます。

具体的にはリフォームや補修、売却といった行為になります。名義人が認知症になり介護施設に入ったためもう誰も住んでいないものの誰も売却を行うことができず、空き家として荒れていく家が後を絶ちません。

認知症になった際に自宅を売却するために家族信託を用いたケースはコチラ>>

また、収益不動産の場合には、居住者との契約の更新が行えなくなるということもありますのでより一層の注意が必要になってきます。

不動産はそれそのものの価値や動く金額が大きいので、心配のある方は家族信託をされることをおすすめいたします。

⑥知的財産権(特許権、著作権など)

知的財産権についても信託を行うことができます。

特許権や著作権について信託を行っておくことで、万が一認知症や不慮の事故で判断能力を失っている間にこうした権利を侵害する事象が発生した際にも、受託者によって対処ができるようになります。

また、特許の使用の申請にも受託者によって対応することができるようになります。

以上が主な信託可能な財産の一覧になります。

ほとんどすべてと言ってもよいほどに、広い範囲の財産を信託できることがご理解いただけたのではないでしょうか?

ただ、「すべての財産が信託できる」というわけではありません。では、次に信託できない財産について見ていきましょう。

信託ができない財産

以下が信託することのできない財産になります。

こうした財産を信託しようと考えている方は、信託することができませんので確認しておきましょう。

①債務、連帯保証(マイナス財産)

債務や連帯保証といったいわゆるマイナスの財産については信託を行うことができません。

ただ、債務に関しては信託をすることはきませんが、債務引受は別途可能です。

債務引き受けをすることで、実質債務を信託することと同じ状態にすることができます。

②一身専属権(生活保護受給権や年金受給権)

年金を受給する権利を信託しようと考える方は少なくありません。

こうした年金受給の権利や生活保護受給の権利を信託することができない理由は非常に簡単なものです。

シンプルに、「現在手元も保有している財産ではなく、将来的に得る財産の権利だから」というものです。

家族信託では、現在もっている財産の管理や処分といった権利を託すため、このような将来的な利益のための権利については信託することができないのです。

③農地

農地は、農地法という法律によってその使用や取り扱いについて厳格な規制が存在します。

そのため、農地を農地として使用するという目的のもとに家族信託を行うには、農業委員会の許可や届出が必要になり、この許可が無ければ信託契約は効力を発揮できません。

また、農地を農地として使用するという目的に立つ場合には、受託者となれるのは農業経営事業を行う農業協同組合のみとなっています。

つまり、基本的には農地の家族信託はできないといっていいということになっています。

例外として、「将来的に農地転用して宅地開発をしていく計画がある」という状態であり、なおかつ近い将来農地の所有者が認知症などで判断能力を喪失してしまう可能性が高いと認められる場合には、農業委員会の許可等を得ることを条件として「条件付き家族信託契約」を結ぶことで家族信託を勧めていくことが可能になります。

いかがだったでしょうか?

以上が代表的な「家族信託できる財産」、「家族信託できない財産」になります。

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